11月13日(土)

11月27日(土)

  


11月13日(土)


 いよいよ今日、バーでの1回目のパーティだ。お天気悪そうと言っていたけど、大丈夫でよかった。パーティを手伝ってくれる川原(「HAPPY & JUMP」にも登場したイラストレーター)と一緒に食材の買出しに行く。「今日はよろしくお願いしまーす」と言いつつ、下見をしておいた食料品を次々と調達。駒沢大学の「bar-closed」へ向かう。

 「bar-closed」は、クー・ド・ビーのメンバーのひとり、今井さんが共同オーナーも務めている、246からすぐ近くの素敵なバー。以前からここにあったバーがクローズする、という話から、それは寂しいと、9人のオーナーたちによって新たな「bar-closed」になったのだそう。

 そういえば昨年の7月、コピーライター進藤さんちで「HAPPY & JUMP」のシュークリームの撮影をした日が、「bar-closed」のオープニングの日であった。長かった撮影が終わり、シュークリームも食べ、ビールも飲んでしまった私たちは、準備に向かう今井さんを見送って、まだバーに行くには早いというので、なんとわずかな夕方の時間に進藤さん宅で昼寝!(夕寝?!)をさせてもらったのだ(笑)。外の公園からなぜかおじいさんたちの話声がうっすら聞こえてきて、なんか外国にでも来たような、気持ちいい時間だったなあ。(撮影に伺わせてもらってるお宅で、こんなことでいいのでしょうか…)そして進藤さん、添田さん、私でそのパーティに出掛けたのだった。

 そんな思い出話はさておき、今回は「しずかな夜を過ごしていただこう」というコンセプトなため、ワイワイ(死語?)という感じではなく、またバーの席数の関係もあって、そんなにたくさんご案内の葉書をお出ししてはいない。なので、いったいどんな感じになるのか、ちょっと見当がつかない私たちでもあった。
 さてバーに到着して、バーテンダーの渡辺さんと皆川さんにご挨拶。すぐに氷を割ったり、果汁をしぼったり、という流れるような動きの作業がカウンターの向こうで始まる。わおー。かっこよい。
 んが、私たち3人はそんな姿を眺めている場合ではなく、テーブルでまだ最後のグッズの袋詰めを敢行!(どうして準備というのは、こうも押し迫ってしまうのだろうか…)しかし今日初めて本や、りすのコースターなどを見る川原が「えー、どれもかわいい〜! すごいじゃーん!」などと言ってくれたので、「ほんとー?!」「でしょお〜」などと言いつつ、ちょっと準備疲れも癒される私たちであった。 

 それが終わったら、おつまみの準備。「しずかな夜」の本にも載せた「はちみち&チーズ」「いちじくバター・あんずバター」「うずらアンチョビ」を手分けしてつくる。バターをたくさん小さく切るのが、意外にたいへんだった。

 またこの「しずかな夜」では、あんまりお酒に強くない女性が、お酒とお菓子を合わせて食べる、みたいなこともいいんじゃないかな、とお酒に合いそうなお菓子もつくってもらったのだった。制作は、祐天寺のカフェ「h.l.d CLOVER」(クー・ド・ビーのハンカチを置いてもらっています)にもお菓子を届けている「milky pop」のminaさん。

 つくってもらったのは、まず「ドライトマト&オレガノ」「チーズ&黒こしょう」「ジンジャー」のサブレ3種。さっくりと軽い口当たりで、甘さを押さえてあって、風味がゆたか。それからスノーボールの「シナモン」。口に入れるとほろっと溶ける、まんまるの雪玉のようなクッキー。そしてヘーゼルナッツとアーモンドをキャラメリゼしてから、チョコで包んだチョコナッツ。キャラメリゼがカリッとして、おいしい!

 minaさんに試作を持ってきてもらった時も「おいしい〜!」「ドライトマトってすごくいいねー」とか言っていたのだが、お酒にもとても合う感じで、新しい楽しみ方という気がした。

 またバーテンダーのおふたりに私たちの趣旨(「女性に合うもので、たとえば豆乳や、果実系、ホットドリンクとか…」)を伝えて、「しずかな夜」のオリジナルドリンクもつくってもらっていた。その6種は、こちら。

 
 
 

「しょうが+ウオッカ+レモネード」
「アセロラ+ピーチリキュール+レモネード」
「ざくろ+ウオッカ+グレープフルーツジュース」
「豆乳+アマレット」
「コーヒー+ラム酒マロンクリーム」
「ホットワイン」

 上の3つはすごくすっきりしていて、果汁などの味わいが爽やかなもの。なんとアセロラやざくろは、フレッシュな果実をしぼるのだ! 「豆乳+アマレット」(「しずかな夜」の本にも掲載)は、豆乳がアーモンド風味のリキュールとほんとによく合い、私たちも撮影の時に「これはいいねー!」と言っていたのだった。下の2つはやや濃厚で、いい香りがする、寒い季節にぴったりなホットドリンク。

 今井さんのダンナさんの後藤さん(「HAPPY & JUMP」にも登場したコピーライター)も到着。後藤さんもこのバーの共同オーナーのひとりなのだ。そしてなんと昔バーテンダーもやっていたという後藤さんは、毎週土曜日にここで腕をふるっているらしい。今日はカウンターの中でサポートしてもらうことになっている。あと私の友達の小沢さんとアピスラボラトリー(今井さんの会社)の染野さんにもお手伝いにきてもらった。「あと10分で開店ですよ〜」という後藤さんの声の中、8時ぎりぎりでようやくすべてのセッティングが終了!

 いよいよ開店。暗くなった店内のテーブルには、キャンドルが灯って素敵な感じだ。しばらくして第1号のお客様が。さすがにオーナーの今井さんは、「いらっしゃいませ、よかったらコートを」なんて慣れているのだった。

 しばらくして私の知りあいの方も。ご案内してメニューを見せ、「今日は私たちが給仕いたしますので(笑)」「おお、マダム〜(笑)」みたいな会話でおかしい。そして「ザクロ、ひとつです」と注文をカウンターの向こうに伝える。初めてなので緊張するような、ウエイトレス風の自分がおかしいような、へんな感じだ。

 テーブルの上のおつまみやお菓子の説明もする。「なんかお皿の上がかわいいですねー」などと言ってもらう。全体的に小さなおつまみをちょこちょこと並べたので。それからほどなくお客様が続く。お菓子をつくってくれたminaさんもお友達と一緒に来てくれた。

 中にはメニューを見て「えー、これも気になるしー、どうしよう」と迷ってくださったり、で嬉しかった。おつまみも「チーズにはちみつって合う」とか、「このチョコナッツ、おいしいですね〜」とか、全体においしいと言ってもらってよかった。女性のバーテンダーの皆川さんに「ドリンク、どれもおいしいそうですよ」と伝えると、聞こえなかったようで「え、どれが?」に「どれも」と言うと、にっこり。

 合間にカウンターの上に展示した本やグッズを見てもらう。「ブローチかわいい〜」「これはグラスに巻いて使うんだ。へえ〜」「コースター、赤とグレーとどっちにしよう〜」などいろんな声をもらう。

 その後もお休みの日の夜なのに、わざわざ遠くから来てくださった方もいて、たいへんありがたいことでした。そしてそんなにごったがえしたりしなかったので、私たちもゆっくりお話でき、「しずかな夜」になったのではないかな、と思う。そして深夜アピスラボラトリーのみなさんがダーツをしたりしている中、「今日はおつかれさまでした」と帰り支度。夜空の下を高速に乗って帰った。自分が何の職業なのか、なんだか不思議な感覚の夜のタクシーだった。


よなかにタクシーでかえってきました
バーですごすというのは
やはりおとなっぽいことなのかも
とおもいました

きれいないろの
グラスをかたむけるということ
くらいまどのそとにみえる
くるまのライト
じかんは
ふだんとは
すこしちがってすすんでいくよう

とうきょうのあるばしょでの
ほどよいかんじの
しずかなよる
きてくださったかたに
かんしゃのよる

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11月27日(土)


今日は2回目なので、セッティングにも少し余裕が出てきた。バターをあらかじめたくさん切っておいたり、工夫も生まれる。だがバーテンダーの渡辺さんの動きを見ると、すごく無駄がなく、早いので、プロの凄さをまざまざと見たような感じだ。カウンターの中で邪魔にならないようにしながら作業する。

 今日は開店と同時にお客様が到着。紹介しあうと、実は昔会ってたはず、とわかったりとか、おもしろいことがいろいろあった。「HAPPY&JUMP」に登場したコピーライターの進藤さんは、間違って先週ご夫婦で来てくださったそうだ!(笑)そして連続でのご来店、ありがとうございます。

 私の大好きなカフェのオーナーのおふたりも来ていただいて感激。飲食店の方に、というのは、相当気が引けたのだが、「おいしいですね〜」と言ってもらって、ほおっ。それからひとりで来てくださったライターの方や、今日も仕事でこれからまた会社に戻る、という編集の方も。すごくうれしかった…。 

 まったくお酒がダメな方には、渡辺さんにノンアルコールのフルーツ系ドリンクをつくってもらったりもした。そしてテーブルを見ると、それぞれが大人っぽい雰囲気で会話をされてるよう。「バーの暗さ」ってなんだかそれだけで雰囲気が変わって、いつもと違う話ができそうだなあと思う。

 そしてたくさんの笑顔に「ありがとうございました」とお見送りして、ほどよい時間でお開きに。「終わったね〜」「おつかれさまでした」安堵する私たち。後片づけをして、おみやげにいただいたものを分けたりした。

 多くの方の協力でできたこの2日でした。後で「あんなかわいいお酒の飲み方ははじめて」とメールをもらったりして、じーんとしたり。慣れない接客でしたが、来てくださった方々、ほんとうにありがとうございました。


すべておわって
おもてにでたら
きゅうにつめたいくうきになっていて
もうすぐふゆなのだなあとおもった

かえりにそらをみたら
まんげつか、1にちまえか、あとの
まるいつき

あおいわっかも
まわりにかがやいていて
すごくうつくしく
しばらくみあげていた

みあげたままで
こんなよるも
よかったようにおもう

みなさま
きょうもよいよるを

 

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